年間4,000航海の複雑な配船計画を最適化。 計画策定の高度化と情報の一元化で、 本来やりたかった業務に集中できる環境へ。

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コスモ石油株式会社 様

コスモエネルギーグループの中核会社として石油精製を担うコスモ石油株式会社。同社では海外から調達した原油を自社製油所で石油製品に精製し、内航タンカーで全国の油槽所へ供給しています。年間約4,000航海にも及ぶ配船計画では、製品在庫や桟橋の混雑、気象・海象、運航効率など多様な条件を考慮する必要があり、担当者にとって非常に負荷の高い業務でした。

そこでコスモ石油では約3年の準備期間を経て、2025年4月からALGO ARTISのAIによる配船計画最適化システム「Optium」の本格運用を開始。計画策定の高度化と情報の一元化により、複雑な配船業務の効率化に取り組んでいます。導入の経緯や導入後の変化について、担当者に聞きました。

お客様の声

Case Interview

24時間365日止められない配船業務、年間4,000航海を支える重責

お話を伺った方

コスモ石油株式会社 コスモエネルギーホールディングス株式会社 (右) 財務部 財務戦略グループ 川畑 裕也様(導入当時、推進リーダーをご担当) コスモ石油株式会社 (左) 供給部 物流グループ 片山 舞様

コスモ石油さんにおける「配船計画業務」の概要や位置付けについて教えてください。

川畑様

当社はコスモエネルギーグループの中核会社として石油の精製を行っています。海外から調達した原油を自社の製油所で石油製品に作り替え、それを国内に供給する上で欠かせないのが、内航タンカーによる海上輸送です。エネルギーの安定供給を維持するため、国内約30ヶ所の油槽所へ24時間365日海上輸送を実施しています。

約50隻分の計画を日々策定しており、年間では4,000航海になります。計画策定に直接関わる本社メンバーは約10名ですが、現地を含む社内外の関係者は200~300名規模に及ぶ、まさに会社の根幹を支える業務です。

かなりの数ですね。内航船ならではの難しさもありそうです。

川畑様

内航船は1航海あたり3~4日と短く、外航船より配船頻度が高いのが特徴です。航路も不定期で、状況に応じて組み合わせを検討しなければなりません。当社の場合、ガソリンや軽油、灯油など複数の石油製品を一度に運ぶこともあり、条件が複雑化しやすくなっています。

天候や製油所の生産状況、油槽所の状況は刻々と変わるため、後続の計画も柔軟に見直す必要があります。年間の配船数は4,000回ほどですが、実行しなかった検討案も含めると数倍に膨れ上がる状況です。

この膨大な検討と指示を約10名で24時間365日、リアルタイムで対応し続けなければなりません。計画策定にはマンパワーはもちろん、担当者の経験とロジックに頼る部分が非常に大きく、その点が最も難しいところでした。

最も肝心な部分に時間を割けないジレンマ

計画業務において、具体的にどのような課題を感じていましたか。

川畑様

大きく「情報の一元化」と「計画策定の高度化」という2つの課題がありました。

当社では10人の担当者が(1)製油所の在庫を管理するチーム(2)油槽所の在庫を管理するチーム(3)船とやりとりしながら航行計画の指示、調整を行うチーム、の3つに分かれています。

これまでは各担当者が社内外の関係者から必要な情報を集め、それを基にExcelで運行計画をまとめていました。個々人が独立して作業を進め、調整が必要な場合に相談するやり方に近かったのです。そのため、同じ部署内でも複数の担当者が「今日、船は予定通り運行できそうか」といった確認を現地にしてしまうなど、情報が分散し、連絡の重複が頻繁に発生していました。

また認識をすり合わせるための連絡や修正作業に時間を費やし、計画を考えるにあたっては「実行可能な一案」を作ることを目指しがちでした。本来は複数の計画を比較した上で「ベストな計画」を検討することが望ましいはずですが、その最も肝心な部分に時間を割けない。そのジレンマが悩ましかったです。

高頻度な上に関係者の数も多いからこそ、情報の収集・伝達における課題が大きかったと想像しますが、いかかでしたか?

川畑様

多数の関係者から情報を集めてくる必要があるのですが、その形式もメールや電話、Excelなどバラバラでした。Excelにまとめた運行計画はさらに社内外の関係者へと共有されていくので、社内外で「バケツリレー」のような、情報の受け渡しだけの手間が発生する構造になっていたのです。

Excelの運行計画は共有サーバーで管理し、複数人が同時に閲覧・編集できる状態にはなっていましたが、何か変更が生じれば手作業で更新します。伝達ミスや更新漏れなど、手作業の限界も課題となっていました。

「本当にモデル化できるのか」懐疑的だった 内航船業務

そのような課題の解決策としてシステムの導入を決められたわけですね。

川畑様

以前から配船業務をシステム化して高度化したいという構想はありました。それに加えて船員の働き方改革など社会情勢の変化も相まって機運が高まり、配船オペレーションの効率化に向けたシステム導入の検討を本格化させました。

複数社から情報収集をしながら良いパートナーを探している中で、社内の企画部門からALGO ARTISの担当者を紹介いただいた流れです。

いくつかの選択肢がある中で、ALGO ARTISを選ばれた理由は何でしょうか。

川畑様

ALGO ARTISのソリューションは外航船の石炭輸送などで導入実績があったため、まず内航船でも可能かを伺いました。内航船は扱う隻数の多さや配船頻度の高さから外航船より複雑だという自覚があったので、正直なところ「本当にモデル化できるのか」と少し懐疑的な気持ちで各社様とお話していたのです。

しかしALGO ARTISの最適化アルゴリズムを軸としたアプローチは、我々がイメージしていた要望や機能を満たしており、複雑な内航船の業務にも対応していただけそうな期待感が提案段階からありました。加えて、もう一つの課題であった情報の一元管理も含めたソリューションをご提案いただいたため、お願いすることに決めました。

どのような点に期待感を感じられたのでしょうか。

川畑様

PoC(概念実証)段階で印象的だったのが、配船計画のプロットに波の高さが組み込まれていた点です。これまで担当者が天気予報を見ながら人力で判断していた部分を、シミュレーションという形でロジックに落とし込んでいただきました。

自分たちが経験や勘で補っていた業務をルール化・見える化すると「こういう風に表現できるのか」と非常に感心しましたし、複雑な実業務のモデル化というアプローチは我々だけでは難しかったため、ぜひお任せしたいと思ったのです。

プロジェクトメンバーの方々は基本的なところから丁寧にヒアリングし、まるで以前から配船業務をやっていたかのように知識を吸収してくださいました。おかげで「どのようにアルゴリズムに落とし込むか」という本題の議論に早く着手でき、システムの完成度を高めることにもつながったと思っています。

前例なき挑戦、社内説得と現場巻き込みの困難

今回はシステムに触れることになる関係者が多いこともあり、導入プロジェクトを進める上でも難しさを感じられたのではないでしょうか。

川畑様

ここまで大規模なプラットフォームの構築は社内でも前例がなく、期待感と同時に高いハードルを課せられている感覚でした。特に最初から完成形が決まっているパッケージ品ではないため、わかりやすさを求める社内に対して試行錯誤しながら進めている状況を説明するのは簡単ではなかったです。

ただ、毎週のミーティングで頻度高く議論を重ね、こちらの要望にもタイムリーに対応いただく中で、必ず形にできるという実感を持つことができていました。

システムを稼働させるには、配船業務の担当者全員に自分ゴトとして参画してもらうことが不可欠です。ここからが本番という段階ではありますが、私たち推進役だけでなくALGO ARTISの皆さんにも熱心にフォローいただき、周囲を巻き込みながらプロジェクトを形にできたことには、ほっとしています。

ゼロから作らない計画策定、アルゴリズムがもたらした安心感

2025年4月から実務における「Optium」の本格運用がはじまりました。業務の進め方はどのように変わったのでしょうか。

片山様

まずはOptiumで3週間から4週間分の配船計画案を作成してもらっています。それをベースとして、各担当者が中身を確認し、調整が必要な部分は人の手で修正を加える流れです。細かい条件設定のチューニングをしている段階なので100点満点というわけではありませんが、Optiumが出した計画案から「こんな配船の組み方があるのか」という新たな発見もあります。

今までは各担当者が思うままに計画を立てていたため、案の選択肢自体が担当者の経験や好みに偏る傾向がありました。一方で現在は様々な制約を最大限考慮した計画案がアルゴリズムによってはじき出され、それを前提に話を進めることができています。

自分たちでゼロから作るのではなく、Optiumが提示してくれた案に対して「調整が必要かどうか」「(複数案の中で)どれが優れているか」を考える。判断に至るプロセスが変わったことで安心感が増し、計画策定にかかる工数の削減だけでなく、心理的な負荷も減ったと感じています。

計画作成の流れが変わって、頭の使い方や心境も変わったというのが興味深いですね。

片山様

以前の業務は、膨大な制約を頭に入れながら、ゼロから配船表を埋めていく感覚でした。今はそのパズルをはめる作業自体はシステムが担ってくれるので、私たちはシステムが最適解に近づけるよう、試行錯誤しながら条件設定の工夫をしています。より高度な、レベルが上がったパズルに挑むような感覚ですね。「これに任せれば、ほとんど調整しなくていいね」という状態になるよう、引き続き条件設定の調整を行いたいと思います。

もともと情報収集やコミュニケーションの面でも効果を期待されていたというお話でした。この点はいかがでしょうか。

片山様

特に業務効率化という観点では、Optiumが配船計画業務のプラットフォームとなり、情報の一元化が実現したことが最も大きいと感じています。一つの配船計画を組んだ時に、製油所のバース(貨物の積み込み・積み下ろしを行う場所)が使えるか、油槽所の在庫は持つのか、といった関連情報がすべて連携され、一目で分かるようになりました。

様々な関係者に配船計画をバケツリレーのように伝達していた手間がなくなり、リアルタイムで最新情報が共有されるようになったことで、関連業務の負担は大幅に減っています。伝達ミスもなくなりましたし、良いシステムになったと心から思います。

命運を握るのは「担当者の自分ゴト化への覚悟」

ついに本格運用がスタートしましたが、今後Optiumに期待されている効果があれば教えてください。

片山様

例えば、現在は手入力している在庫データを、社内の別システムと自動連携できれば、さらに人の手を減らせるのではないかと考えています。個人的な思いではありますが、このシステムで集約された情報を活用して、新たなアクションに繋げられないか。そんな広がりにも期待しています。

川畑様

より安定的にシステムを稼働させるという意味で、広い意味での精度向上に期待しています。人による判断が必要な部分は残ると思いますが、計画を組む上でのより細かい制約などを組み込んでいくことで、さらに業務効率や計画精度が向上すると考えています。

最後に、同じような課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。

川畑様

配船業務のように資源の供給や物流に関わる業務は24時間365日止まることがなく、ベストを追求しようとすると際限がありません。責任感を持って複雑な業務に向き合っているからこそ、「長年の経験やノウハウを、システムがボタン一つで超えられるはずがない」と、にわかには信じがたい気持ちになるのは当然だと思います。少なからず私たちにも、そういった気持ちがありました。

しかし、実際に取り組んでみると、AI技術は日進月歩で進化しており、同じ条件下であれば人間が敵わないような優れた解を出してきます。一方で、決して「魔法のシステム」が一朝一夕でできるものではない、ということも同時に感じました。

今回ALGO ARTISには惜しみないサポートをいただきましたが、最終的にプロジェクトの命運を握っているのは「担当者がどれだけ自分ゴトとしてコミットできるか」だと痛感しています。

最適化AIを新たに構築するということは決して楽をすることではなく、むしろ道中は間違いなくチャレンジングな試みになると思います。ただ、配船業務で苦労し「なんとかしたい」という強い思いを抱えていらっしゃる方は、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

ページ上の内容は2025年7月時点の情報です。

資料提供:コスモ石油株式会社

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